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玉座

ふと気がつくと、わたしが先ほどから語りかけていた人は人ではなく、人形なのでした。人形は異様に薄く、二次元の動物のようにぴらぴらと上下に揺れ動いては、シルクハットを揺らめかして、にやにや笑いを続けているのです。

丁度起き上がり小法師のように、赤や黄色の紫のだんだら模様にひとしきり海のささやきをひらめかしては、波のように引いていくのです。

わたしはその前にしばらくたたずんで、人形の赤い鼻を弾いて遊んでおりました。すると大きな鐘が鳴って、辺りは昼間でありながら、昼間でないような光り加減になりました。

そのあやしい明るさの中で、わたしには今こそ滅びた国の玉座が、ふたたびこの世にせりだそうとしているのが、倦んだ傷のようにずくずくと感じられたのです。

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

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