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アイシティ

「コードネームはアイ、アイシティ」

失われた鬼才・板橋しゅうほうの最高傑作とも名高い、バイオSF。舞台は1983年の東京らしき世界。超能力者K(ケイ)とその娘I(アイ)が、謎の超能力集団に襲われているところから話は始まる。

超能力集団のメンバーK2、イー、リアン、その上司クァグラ・リー、警察官ライデン、その妻アケミ、スーパーのガードマン・リーなどを巻きこみつつ、話は断片的に明らかになっていく。

実はIはトリガーであり、接触した人間の超能力を増幅させる能力を持っており、クァグラ・リーは彼女を確保して、政権闘争に役立てようとしていたのである。

ところがIをつけ狙うのは彼だけでなく、実体を持たない精神物質アロイもそうであった。アロイはIを殺し、実験を自分に有利に進めようとしていることが判明するのだが、「実験」とは何か?

彼らのIを巡る闘争と平行して、1983年の世界のおいて、金属製の「天井」降りてくるという摩訶不思議な事態が勃発する。人々は逃げ惑うが、急遽現れた「壁」に行き場を失ってしまう。

不思議なことに、彼らは長年暮らしていたにも関わらず、この世界は壁にによって隔てられた円筒形の空間だということに気が付いてなかったのである。そして上から天井が落ちてくれば、中にいる住民らは全滅してしまう。

しかし、それこそ「実験」の目的であった。

「フロア1983」を根こそぎ潰し、その世界を消滅させる「大輪廻」が、実験者の意図だったのである。ではその実験者とは何者か。天井の上-「フロア2183」の人々なのか?

だがフロア2183の支配者、クァグラ・リーにも、それは知らされていなかった。リーはIやK、アロイのことになると、記憶が曖昧になってしまうのである。最早、そこに何か隠されていることは、歌外洋がなくなった。

リーはIを誘拐し、拷問を加えようとする。その機先を制し、Iはリーにコードネームをささやきかけた。「コードネームはアイ、アイシティ」。。。その言葉がトリガーとなって、失われた記憶がリーからほとばしり出てきた。。。




実は、クァグラ・リーもガードマンのリーも、桑原・リーという人物のクローン体であったのである。それだけでなく、K、K2はリーの親友であったケイの、Iはケイの娘の、ライデンはケイの父親の、それぞれのクローンだったのである。

しかし、クローン元は数千年も前に死に絶え、今はそれぞれのクローンが、幾つかのフロアに入れられて生活しているだけであった。各フロアは各時代に合わせて人工的に調整されており、決してそこから進化しないように作られていた。

つまり千年たっても新しい発明はなされず、社会に発展はなく、子供も孫も、ほぼ同じ環境で生育を繰り返す。。。。この不気味なシステムの目的は、人工進化の研究にあった。

「神」は進化に失敗した人類であり、どこで失敗したかを見極めるために、各年代ごとに実験室を作り、そこで上手く進化できたものを抽出して、その遺伝子を利用して進化失敗を乗り越えようとしていたのである。

しかしその実験はうまく進まず、進化促進のカンフル剤としてIとアロイが送り込まれた。Iは超能力活性化、アロイは遺伝子重合によって、それぞれ進化の新しいステージへ進もうという試みであった。神はこの両者を競わせ、勝者を生き残らせることで、実験を進めようとしていたのである。

ここに至って、「真」の敵が明らかになる。Iたちは、アロイを倒さないと、神によって消滅させられてしまう。Iと父K、その友リーらは力を合わせてアロイを打ち破る。同時に天井がこじ開けられ、フロア1983の住民が、上のフロアに救出されていく。

しかしこれで終わりでなく、Iらは進化の頂上を見極め、神と対決するためにフロアを上へ上へと登っていく決心を固めるのであった。




1983年の連載から四半世紀を経るも、なお色あせることのない作者の構成力には脱帽するばかりである。さすがにキャラクター造形は80年代臭があるが、それを補って余りある。

中でも、「この世界に壁があった」という衝撃的なシーンは印象に深い。物理的に存在しているのに、いつもは見過ごしている壁。その壁によって、世界は区切られていた。

この壁に現実的な意味を与えることはたやすい。民族や文化、宗教や経済といった違いは、「見えない壁」を作る。我々は知らぬ間に、これらの壁に行動を束縛されている。

またSF好きなら、一度は「この世は誰かの空想ではないか」と思うことがあるだろうが、それを科学的かつ詩的に描くのは難しい。板橋しゅうほうという作家の表現力を、如実に示すくだりである。もっと評価されてよいクリエータのように思う。

アイ・シティ (上)アイ・シティ (上)
(1996/02)
板橋 しゅうほう

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おはようです。
板橋しゅうほう、懐かしいです。
大友から流れて読んでました。
アメコミ風のちょっとクドい絵とノリが新鮮に感じられました。
でもそれが逆にあんまり受け入れられなかった原因かなーって思ってます。
田舎に住んでいるからか、あまりコミックも出回ってなかったので、セブンブリッジが全巻そろったときは嬉しかったですw
また読み返したくなりました。

セブンブリッジ!中断が長かったですね~。月刊「トム」でリアルタイムで追いかけてましたw。同誌で連載されていた「西遊記妖猿伝」なんかも中断され、しまいにはトム自体、休刊してしまいw。
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