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かしまし

かしまし~ガール・ミーツ・ガール~4 [DVD]かしまし~ガール・ミーツ・ガール~4 [DVD]
(2006/07/28)
植田佳奈堀江由衣

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(↑少女のように見えるが、実は・・・)

「かしまし」は、百合もの、あかほりさとる原作、ということもあって、なんとなく自分のアンテナにかからなかった作品だ。

別段、あかほりが嫌いなわけではない。下品、下劣。外道、底が浅い、と批判されがちなライトノベル書きだが、彼の下品さは嫌いではない。

ただ大声で叫びながら家に駆け込んだりの、安っぽい感動話に涙せよと言わんばかりの、あかほり作品の騒々しさ、ガキっぽさが、最近はついていけなくなっただけである。

また自分には百合属性がないので、百合ものを読んでも面白いと思えない。そんなこんなで見過ごしてしまったわけだが、これって、実は半百合ものだったのですね。

主人公はずむ(このネーミングセンスのなさも、あかほりの欠点だが・・)は、実は性転換した少女。その彼(女)を少年時代から愛していた幼馴染と、少女として愛する百合っ娘との三角関係があたらしい(といっても数年前の作品だが)。

つまり主人公は一種両性具有で、読者は少年としての恋愛と、少女としての恋愛の二粒を同時にたのしめるという親切設計だ。


恋愛ものを読むとき、通常(男性)読者は、主人公に感情移入しつつ、嫉妬も感じるというダブルバインドをあじわう。あたるとしてラムちゃんとの恋愛を楽しみながらも、「けッ、あたるのような、いい加減な男のどこがいいんか」という感情をも抑えきれない。

ところが、そんな煩悩まみれの人間にも「かしまし」はやさしい。何しろ主人公に男として感情移入できると同時に、主人公のなかに女性を感じて、(はずむとの)恋愛感覚をもたのしめるからだ。

つまり、通常の作品では、男性読者は

読者→主人公→ヒロイン

という回路を通してヒロインとの擬似恋愛を堪能するが、この作品ではその回路のほかに、

読者→主人公(実は女性)

という恋愛回路も存在するわけだ。

もっともこの構図はBLの構造でもある。BLにおいては、女性読者は

読者→主人公→ヒーロー
読者→主人公

を通して男性キャラ2人との恋愛を同時にたのしむことができる。あかほりもおそらくBLから「かしまし」のアイデアを得たのだろう。


「かしまし」はヒットし、アニメ化もされ、今なお高く評価している読者も少なくない。ただ男性の間に、「百合もの」はあまり流行っていない。百合専門誌「百合姫」(園芸雑誌と間違えるヒトが後を絶たないという)によると、購入者の7割は女性という。

なぜ同性愛-百合もBLも-が女性の間でのみ流行るのか。

男性に同性愛の話を持ちかけると、たいてい「キモい」「興味ない」という反応が返ってくる。何がキモいのか、突っ込んでみると、要するに「男の尻を見ても楽しくともなんともない」、ということらしい。

一見当たり前のことのように思われるが、英米社会では、男性の尻に浴場する男性が1割いるという説もある。また日本でもかつては男色が公認されていた時代もあった。男性の間で同性愛が否定的なのは、日本の現代的特徴であり、普遍的現象ではないのである。

ツッこむと色々おもしろそうな話題だが、ここでは「かしまし」の書評が目的なので、深くは突っ込まないことにしよう。


「かしまし」で秀逸なのは、性転換した主人公の心理描写が、巧みに自然に行われていることだ。普通、この種の「ケレンもの」は、アイデアの面白さにすがってストーリーが進み、心理描写はおざなりにされることが多かった。「マリオネット」や「らいむ」でもその傾向はつよかったといえる。

だが「かしまし」では性転換、死という運命を粛々と受け入れ、悩みながらも後悔しないように行動する主人公の姿が淡々と描かれている。そこにはかつてのあかほりのような騒々しさは影を潜め、丁寧に人間を描写しようとする姿勢がかいま見える。

もちろんその描写はまだまだ底の浅く、紋きり的なものではあるが、SFという突飛な舞台を借りて、極限下における人間性を描こうというのは、現代文学にも通じる思想であり、あかほりも成長したなあ、という感慨しきり。(まあ彼も40代だしな)

惜しむラクは、主人公の愛を受け入れたヒロインが、その愛をどう処理するのかが書けていない点だ。もちろんレズっぷるで生涯を通すというのもアリだが、それにしてはその覚悟に欠けている。

ライバルのほうは、自分の人生を賭けて(命や進学)まで、主人公を愛し抜こうとしているが、ヒロインの方は単に弟いや、妹のように、主人公を愛しているだけにしか過ぎない。恋愛というより、家族愛、姉妹愛にちかいものをかんじる。

まあライトノベルの恋愛感には、その種のものが多いので、あかほりの欠点というのは酷だとは思うのだが。

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