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スパコンは本当に必要か?

始めて査定プロセスが公開された事業仕分け。連日大きな話題になっているが、反対派の意見がなかなか面白い。

中でもスパコン開発に代表される科学技術屋の反論がイケている。いわく、「科学技術は仕分けにそぐわない」、「科学技術立国を目指すなら、費用を度外視すべき」、「ここまで積みあがった成果を無に帰させるのか」・・・

一理はあるが、もしその言に従うのなら、日本の科技費は第二の公共事業化してしまうのは、目にみえている。すでに時代は費用対効果、コスト意識が決定的になっているのに対し、まだ甘い夢を見ている科学技術者の限界が露呈した感じだ。


一般に国の科研費の査定はあまい、と言われている。ソフト一本の開発に数百万、数千万つぎ込むことも稀ではない。それを民間委託すれば、数十万程度で完成する。無駄がおおい、と言われる所以だ。

同様にスパコンの開発費1,154億円も、適正に使われているとは考えづらい。スパコン計画では、神戸ポートアイランドの一角に土地を取得し、冷却設備・変電設備を備えたビルをおっ建てる予定だが、そのようなハコモノ・コンピュータが本当に必要なのか、うたがわしい。

というのは、コンピュータを連結して計算を行う分散コンピューティングが常識化した90年代以降、スパコンの存在意義が大きく低下したからである。

原発のような威容を誇るスパコン設備を利用しなければならない必要性は、先端研究に限られるようになり、スパコンの需要が激減したなか、NECのようにスパコン開発から撤退する企業も出てきている。


そこで、「スパコン仕分け」に反対している人には、先端研究者がおおい。研究に携わってきた自分としても、スパコンが全く不必要だとはおもわないが、1千億円超の予算は、あきらかに行きすぎである。

1千億といえば軽くダムが建つ金額であり、医療費が払えずに病死に追い込まれている人々100万人を救える金額でもある。

科学者側は、「科学技術は日本を豊かにする以上、予算は削れない」と強く反論するが、そのような主張をぶつ前に、自分たちの研究が病死者の上に成り立っていることを、まずは自覚すべきろう。

一体に科学の世界では科学至上主義がはびこってきた。なまじそれが生活の役に立つだけに、それは国家の支援を受け、いわば「官学共同体」のようなキメラにまで成長してしまった。母体が衰弱死しかかっているのに、そのキメラはもっと、もっとと母乳を欲している。

そして国民もまた、「ムダもやっぱり必要よね」と学問の力に納得させられてしまう。日本に必要はなのは、学の外から学を捉えなおすだけの視座なのだが、その視座そのものが学に含まれてしまうほど、その病根はふかい。


スパコンにもどれば、予算をつけるなら、むしろ計算処理をコーディネートするソフト・パワーだろう。研究者の処理要求を、現存のコンピューティングパワーでやりくりする部署を作ることで、計算力の有効活用を図るわけである。

有効活用すれば、スパコンでなく、通常の高性能コンピュータ程度で処理が済むものも多い。何が何でもスパコン頼み、という贅沢はもう許されないだろう。

ましてや「No1は夢を与えるから」、「(仕分け業務を担当した)レンホー議員が気に食わないから」などの批判はあまりに貧困である。

たとえばアゴラの西氏の発言は、この類に入る。


西氏は蓮舫議員がコドモに中国風の名前をつけたことから、「感覚は中国のひとなのであろう」とし、さらに進んで、「その生まれた国の意向がある」、などと素晴らしい推論を行っている。つまり彼は、「蓮舫議員が中国出身だから、中国政府の意向を受けてスパコン廃止を行った」、と言いたいわけである。

ところがここには大きな事実誤認がある。じつは、当議員は、中国生まれでなく、日本生まれでなのである。また親も中国人でなく、台湾人である(母親は日本人)。(wikipediaより)

要するに西氏は、wikiに書いてあるような簡単なリサーチもせずに、感情論でスパコン仕分け批判を書いたことが明白なのだが、さらにイタイことに、彼は続けて、「蓮舫議員が、もしアメリカの議員でああいう発言をアメリカ議会の会議でしたら、たいへんなことになるであろう」、としている。

自分は長年アメリカに住んでいたが、アメリカの国会で議員が「先端プロジェクトの見直し」を求めたからといって、たいへんなことになった、ということを見た覚えはない。たとえばクリントン政権時代、宇宙開発費が大幅に削られたが、それで「たいへんなことになった」ことは寡聞にして聞いたことがない。

むしろ「たいへんなことになった」のは、議員が西氏のような人種差別的な発言をした・された場合である。移民の子孫の国会議員に向かって、「アメリカの心を知らない」、「外国の意向を受けて行動している」などといったら、良くても告訴である。


このように、スパコン反対派の議論は、冷静さに欠けるものがすくなくない。西氏に至っては、ナショナリズムの延長線上にスパコンを捉えている危うささえ、見受けられる。

確かにアメリカや中国に打ち勝つだけのスパコンを持ちたい、という気持ちも理解できなくはないが、そのために1千億円を費やすのは、およそ理性ある判断とは言えないだろう。

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No title

うーん、すごく勉強になりました。
そっか、1千億・・・100万人を救える金額なんですね。
資源のない日本は技術力を売るしかないので、そっち方面を育てなきゃって思うのですが、なんせお金がうなるほどあった時代はもう終わってしまった感じですもんね・・・。
遊びの部分から生まれるものもあるとは思うけれど、そんなこと言ってられないのか~。
それにしても、必要なところに必要なお金をってこんな難しいことなんですねえ。
こちらでは未だに、出来上がってもどうも使いそうにないでっかい道路を作っていますよ・・・。

れんほうさんはさすが元モデルさんなだけあって、自分の立ち位置というか、自分が何を求められているのかがよく分かっているなあと思いました。
「ほら見て!民主党はこんなにやってますよ!!すごいでしょ!」って全身で言ってる気がしますw

西氏の記事

はじめまして。
私も西氏の記事を読んで呆れてしまいました。
彼はTV報道だけ見て、カッカして仕分けを批判したのでは、と思います。「仕分け人はどうせ科学の素人ばっかりだろう」とタカをくくっている節もありますし。

専門的な方のブログなどを見ると、仕分け人の指摘や質問はかなり真っ当だったようです。本当に科学技術を大事にしたいなら、それらの指摘を冷静に聞くべきでしょう。

Re: No title

> うーん、すごく勉強になりました。
> そっか、1千億・・・100万人を救える金額なんですね。

まー一人頭10万円、というドンブリ勘定ですけね・・・

> 資源のない日本は技術力を売るしかないので、そっち方面を育てなきゃって思うのですが、なんせお金がうなるほどあった時代はもう終わってしまった感じですもんね・・・。

科学技術への投資は必要ですが、査定なしの大盤振る舞い、という時代は終わった、というより終わらせなくては、と思うのですね。たとえば1千億円あったら、スパコンでなく、若手研究者を育成したり、バイオやコンテンツ産業に投資したほうがいいのでは。

科学者の大部分は、研究費は果物のように、毎年自然に下りてくるものと思っているので、今回の仕分けは良いショック療法になったでせう。

> 遊びの部分から生まれるものもあるとは思うけれど、そんなこと言ってられないのか~。

芸術家のヒトも、そう言ってましたね。まあカネがあればそう言ってもいいんですけど。。。

> それにしても、必要なところに必要なお金をってこんな難しいことなんですねえ。
> こちらでは未だに、出来上がってもどうも使いそうにないでっかい道路を作っていますよ・・・。

難しいのは「何が必要か」ってことですねー。やはりNHKなどが言うように、基準は必要でしょう。
ただNHKは「もっと時間をかけろ」「相手の意見を聞け」と主張してますが、仕分けにはスピードが必要(予算編成まで1,2ヶ月しかない)なので、それは無理な注文かな。

> れんほうさんはさすが元モデルさんなだけあって、自分の立ち位置というか、自分が何を求められているのかがよく分かっているなあと思いました。
> 「ほら見て!民主党はこんなにやってますよ!!すごいでしょ!」って全身で言ってる気がしますw

ただ底が浅い感じがw。彼女を表にしたおかげで、作らなくてもいい敵を倍増させた気もしますw。

Re: 西氏の記事

> はじめまして。
> 私も西氏の記事を読んで呆れてしまいました。
> 彼はTV報道だけ見て、カッカして仕分けを批判したのでは、と思います。「仕分け人はどうせ科学の素人ばっかりだろう」とタカをくくっている節もありますし。

kirikoさん、はじめまして。コメント、ありがとうございます。
そうですね。西氏も、以前はそれほどおかしな言論はしてなかったと思うのですが・・・近年は言動がナショナリスティックになってきた気がします。

> 専門的な方のブログなどを見ると、仕分け人の指摘や質問はかなり真っ当だったようです。本当に科学技術を大事にしたいなら、それらの指摘を冷静に聞くべきでしょう。

スパコンの仕分けにはコンピュータの専門家(東大・金田教授、千葉工大惑星探査研究センター・松井所長)の加わっており、いずれも「世界1である必要はない」、「技術波及が期待できない」などと否定的意見を述べています。

それに対し、スパコン擁護派にはノーベル賞受賞者らが名を連ねてますが、彼らはいずれも一線を退いたヒトが多く、現場の実情を知っているとは言いがたいように思います。

むしろスパコン論争は、「国家による科学技術擁護の象徴」、として扱われている感じですね。もっと冷静な議論がほしいところです。
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