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Vinland Saga

ヴィンランド・サガ 7 (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ 7 (アフタヌーンKC)
(2009/02/23)
幸村 誠

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Vinlandとはバイキングの言葉で「葡萄の地」で、現在のカナダ南部をさすと考えられている。

10世紀、ヨーロッパをところ狭しと活躍していたバイキングは、スカンジナビア半島からイングランド、アイスランド、グリーンランドと西行し、ついにアメリカ大陸にまで達した。

その勲しは叙事詩サーガに遺されたが、これを信じる人はほとんどいなかった。しかし20世紀に入り、ニューファンドランド島でバイキングの遺跡が発見され、サーガの真実性が証明されることになる。

サーガによれば、レイフ・エリクソンなるグリーンランド人がヴィンランドを発見したという。エリクソンは男女を募って入植するが、原住民との諍いなどから入植地は長続きせず、放棄された。

またサーガはエリクソン以外にも、彼の義理の兄弟(エリクソンの兄弟の嫁の後夫)であるトルフィンが移住計画を指揮したことを伝えているが、このトルフィンが物語の主人公である。

といっても物語はまだプロローグを終えたばかりで、トルフィンは未だ農奴状態。7巻まで何をしていたかというと、デンマーク王子カヌート一世の話が続いていた。

カヌートはデンマーク王スヴェン一世の次男だが、トルフィンはこの王子の従者となり、覇業を助けるというのがプロローグの筋書き。

しかしカヌートがトルフィンの仇敵であるアシェラッドを殺してしまうと、トルフィンは復讐の的をなくしてキレてしまい、王子に襲いかかる。死刑は免れたものの、トルフィンは奴隷の身に落とされてしまう。。。


このあたりの展開には、多少違和感をおぼえる。カヌートの参謀として生きる決意をしたはずのアシェラッドが、なぜそう簡単に死を選んだのか。

たしかに母の故地たるウェールズを守るためには、スヴェン王を殺すのが手っ取り早いのは分かるが、自分が死んだ後、王子を支える参謀が誰一人としていなくなるという状態を恐れなかったのか。

イングランド王を継げたとしてもクヌートには、まだ倒すべきデンマーク王たる兄がおり、アシェラッドの補佐がまだまだ必要なはずである。

また運良くクヌートが王座についたとしても、彼がウェールズを保護するという保障もない。先々までウェールズを守るには、生きれるだけ生き抜いて王子の側近であり続けるべきだろう。

もちろん、アシェラッドはやはりバイキング戦士で、緻密な戦略で固めているようでいて、その実、熱血漢であったと考えることもできるが、周到で抜け目ない描写がされているアシェラッドが、自死を選ぶというギャップはやはり唐突である。

物語の展開上、アシェラッドが死ななければならないのも分かる。まずトルフィンを王子から切り離さないと、本編たる「ヴィンランド移住編」はスタートしないが、それにはトルフィンと王子を結び付けているアシェラッドが消失しなければならない。

またトルフィンとアシェラッドの間にある怨恨関係にも決着をつける必要があるが、それにはアシェラッドもまた、トルフィンの父と同じように「自己犠牲」を遂げることが条件になる。トルフィンに大きな影響を与えた二人の先輩が、同じ自死を選んだことで、トルフィンは復讐の呪縛から解放され、ビルドゥングがなされるというわけだ。


批評は辛くなったが、8巻でやっと本編に入るという息の長さには、今後に期待できる壮大さを感じる。北欧を舞台にした歴史物語、というのも日本にはめずらしい。

これからの展開から目を離せない一品ではある。

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