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和朗フラット

東京は麻布台にある古アパート、「和朗フラット」。

単に古いだけのアパートなら、東京にはごまんとあるが、戦前となると、数えるほどしかない。以前は代官山や表参道に同潤会があったが、それも取り壊されてしまい、残っているのはわずか。

震災、戦災と原因はあるが、何より日本人は古い建築を大事にしない、というのが最大の理由だろう。政治や文化の面では悲しくなるほど古いもの好きなのに、なぜ「女房とタタミ」だけは新しいのが好きなのか、一度つっこんでみたい気はするが、なにはともあれ、この和朗フラット。かなり古いたてものだ。

昭和の5~11年に建てられたこのアパート、設計者は上田文三郎・万茂親子。文三郎は農学者で、昭和3年に息子と米国視察団に加わり、帰国後、このアパートを作った。


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スタイルは「スパニッシュ・コロニアル」と呼ばれるもので、アメリカ西海岸に特徴的な様式である。

もとはスペイン植民地に普及していた様式で、カリフォルニアはスペイン人の植民地だったために、この様式が広まったわけである。

特徴としては白やピンクを主にしたあかるく輝く漆喰外壁、半円アーチの出入り口、赤褐色の瓦屋根などが挙げられるが、これはあかるく澄んだカリフォルニアの光のしたでは、ひときわ際立つ建築でもある。

その光景は印象的で、おそらく上田はそれに魅了されたのだろう、和朗フラットの基本コンセプトはスパニッシュコロニアルであり、ために「スペイン村」というあだ名さえつけられた。

しかしこの様式は、あくまで乾燥した地中海式気候のなかで生きる。白系統の外壁はつよい光をはじいて輝くのであり、日本のように湿った光のしたでは、その真価を発揮しない。アーチの出入り口は芝生の庭園におかれてこそマッチするのだし、赤褐の屋根はカリフォルニアの青い空に添えられてこそ、うつくしい。

実際、上の写真でわかるように、東京のごみごみした曇天下では、この建物はぱっとしない。


またソトから覗く限り、住環境もあまり良いようには見えない。中庭は粗大ゴミなどが乱雑に放置され、窓辺には洗濯物などが干されている。このアパートにはベランダがないようで、ものが干せないのらしい。

全体的に薄汚く、管理が行き届いていないように見える。

日本の西洋式古建築に共通して言えることだと思うが、諸悪の根源は「安普請」である。横浜でも神戸でも函館でも、戦前の洋館は日本の長屋をベースとして建てられており、欧米本場の建築に比べると、柱も梁もほそければ、壁も床もうすく、全般に安っぽい。

百年、二百年もつように作られる西洋の建築にくらべ、日本の建築は十年、二十年もてばいいという発想で造られるが、その違いが出てきているようだ。

またそのような古い洋館で暮らす場合、十二分に整備しておかないといろいろ問題が発生する。ほっておけばすぐにカビがはえ、シロアリが巣食い、水は漏る。修繕を繰り返せば歪みはふえ、隙間風やきしみが耐えない。

幾度かそのような洋館に住んだことがあるが、正直、二度と住みたいとはおもわない。確かに古い家には骨董的な味わいがあるが、骨董というものは好きなときに一時的に味わうもので、四六時中それに囲まれて生活していれば、じきに嫌気がさしてしまうものだ。

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