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死亡の塔

ブルース・リー 死亡の塔 [DVD]ブルース・リー 死亡の塔 [DVD]
(2001/08/10)
ブルース・リーウォン・チェン・リー

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73年にブルースリーが急逝した後、皮肉にも彼の人気は世界的に高まり、彼の映画を望む声が後を絶たなかった。

そこで未公開フィルムと、代役タン・ロン(唐龍)らが演技したフィルムを繋ぎあわせて作られた「なんちゃってブルースリー映画」が、「死亡遊戯」である。

リー本人が登場するのはラスト10分ほど。後は照明を落としたり、サングラスをかけさせたり、後姿や真上から撮影したりして、あたかもリーが演技しているかのように見せかける、実に香港人のアイデアと機知をたっぷり堪能させられる作品にしあがっている。

しかしこのトンデモ映画、日本などで大ヒット。これに気をよくした製作元・ゴールデンハーベストは、二匹目の泥鰌をねらう。それが「死亡の塔」である。


今回もブルースリーの未公開動画を軸に、代役をたてて凌ごうという考えだったが、そのリー動画がほんの1分しかなく、これでは100分映画に仕立て上げられないことが判明したのは、最早クランクインして後のことだった。

(70年代当時の香港映画界では、満足なシナリオもなく、行き当たりばったりに映画が撮影されることが多かった)

そこで監督は「主人公を殺す」という暴挙に出る。なんとこの映画、主人公が登場してから30分足らずで死んでしまうのだ。そしてその後は、弟が出てきて、兄の仇を討つという抱腹な物語が展開される。


弟役に抜擢されたのは、「死亡遊戯」で代役をつとめたタン・ロン。後半は彼を主演に、ストーリーが進んでいく。

弟は兄殺害の情報を追って、日本を訪れる。そして銀座のクラブに行くという設定だが、どうみても「歌舞伎町」。後ろに「コマ劇場」があったり、今は亡きキャバレー「クインビー」の看板があったりする。

なぜ銀座に行かず、新宿で撮影したかは疑問だが、ひとつには新宿界隈には華僑がおおく住んでおり、彼らを頼ってロケが行われたのが理由らしい。

今とちがってLEDや蛍光灯が普及していなかった70年代、日本の繁華街の照明には白熱電球やネオンがおおく、夜景は赤く紅いものだったが、それは丁度、赤色を尊ぶ中国人の感性にマッチしていた、というのも理由だったようだ。(実際、香港の看板照明は、赤系統がほとんど)


歌舞伎町 銀座のキャバレーでルイスなる武道家の情報をつかんだ弟君は、早速その男の道場へおもむく。

道着は空手服でいいのだが、日本の道場なのに、道場主ルイスは欧米人、道場はどうみても中国の寺廟。道場の庭はサファリパークになっており、孔雀からライオンまで出てくるカオスさ。

(もっとも香港にはタイガーバームガーデンというカオスを極めた庭園があり、それに比べればまだまだ発想が正常なのかもしれぬ)

そのライオンに弟君は闇討ちされるのだが、これも獣にしては不自然な動きで、中に人間が入っているのがアリアリ。

全体的にこのころの香港映画はチープな作りなのだが、それが却っていい味を出していておもしろい。それはそのチープさの中に、創意工夫や汗臭さ、人間臭さ、ひいてはその時代背景までもが感じらとれるからなのだろう。

ライオンの襲撃と前後して、主人公2はルイスの愛人にも襲われるが、この愛人、全裸で登場するのだが、そのおっぱいが垂れ垂れな上、化粧がまたケバくて、まるで「香港フラワー」。

「香港フラワー」というのは60、70年代の香港名産。もう今では目にすることもないが、あまりにチープなビニール製の造花、原色ハデハデな造花に、なにか、場末のストリップ劇場のような、切なさと可憐さと、居直ったしぶとさが見て取れたものだった。


さて、垂れ乳女の襲撃をも逃れた弟君は、いよいよルイスと対決・・・かとおもいきや、ルイス君も殺害されてしまう。

そして弟は真犯人を追って、「死亡の塔」があるという寺にやってくる。

前作「死亡遊戯」では、やはり猛者の集う塔があり、ブルースリーはその猛者を倒し倒してラスボスにいきつく、という話だったので、ここで大抵の人は「クライマックスだ」と身構えることだろう。

しかし心配はいらない。

というのは主人公は塔など登らず、「地下」にくだっていくからだ。しかも「エレベータ」に乗って。

するするとエレベータが地底に着くと、そこは007映画(当時流行っていた)のような秘密基地。そこでスパイさながらに暗殺拳を駆使して、次々に敵を倒していくのだが、そこはタン・ロン。やはり無様なカンフーではある。

リーのような華麗さ、繊細さ、カリスマがない。敵を踏み潰すにせよ、リーの足さばきには、音楽的、女性的ともいえるほどの魅力があったが、ロンにはそれがない。ただ力まかせに蹴りだすのみ。たたきつけるのみ。

だが、この映画のターゲットたる当時の香港一般市民は、教育水準も低く、単純な肉体労働者がおおかった。彼らにとっては、そのような単純さが、かえって心地よかったのだろう。


原始人風の小ボス、僧侶の中ボスを倒したタンロンは、遂にラスボスに出会う。ラスボスはマフィアの首領で、麻薬取引を邪魔した兄を排除せんと、殺害におよんだのだった。

怒りに燃える弟君にたいし、ラスボスは日本刀で立ち向かうが、やはり日本人でないせいか、刀の持ち方が中国風。

重い青龍刀をあやつる中国剣術は、金づちや斧を振り回す要領で斬りつける。斬るというより叩きつける、といったほうが近いかもしれない。

その要領で日本刀を振ると、日本刀は軽いので、空回り、上滑りしてしまう。案の定、その隙をタンロンにつかれ、ラスボスは敢えなく最期をとげるのであった。

が、この映画、興行的には散々で、以後二度とブルースリー映画が製作されることはなかった。

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