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世襲議員の是非

自民党の選挙対策委員が、衆院選対策のマニフェストに「世襲議員の制限」を盛り込もうとしたところ、党内の世襲議員からの猛反発に遭っている。

曽祖父代からの生え抜きの政治家である鳩山邦夫を初め、祖父が衆議員で森コンツェルンの創始者である森英介、父が衆議員の金子一義、塩谷立らも反対の意向をしめしている。そして彼らをまとめるべき立場にある麻生首相自体、祖父は吉田茂であり、制限には消極的だ。

彼らは反対の理由として、「職業の自由に反する」を挙げている。なるほど、拳法に定められた職業選択の自由を、衆議院議員が曲げるわけにはいかない、というのは見やすい道理である。

ただ同じく憲法に記述された、「身体の自由」や「営業の自由」は往々にして犯されるが、それについてこれら世襲議員は積極的に反発していない。それなのに「職業の自由」だけは喉も裂けよ、とばかり反対する姿勢には一貫性が見られない。

むしろ憲法をタテにして既得権を死守しようとしているのだ、と批判されても仕方がないだろう。


世襲は歌舞伎や落語などの伝統芸能のみならず、企業や学校の世界でもよく見られる現象だが、一般に世襲が定常化した社会は、停滞・衰退をはじめることがおおい。

それは業界への新規参入が難しくなり、新たな血が入らなくなって、改革の機運が殺がれるからだが、江戸末期の日本、清朝末期の中国、WW2後のイギリスなどが好例である。これらの社会では長期停滞の結果、破滅的な戦争や内乱、國際地位の低下などの現象が起きた。

特に政治の世界で世襲が続くと、政治家から庶民感覚が消失し、「政治家による、政治家のための、政治家の政治」が出現してしまうが、正にこれは日本の現状である。

また政治家の世襲は、公平性をも欠く。庶民が国会議員になるには、事実上、資金や経歴、人脈などの有形無形の「資産」が必要だが、それが親から与えられているものと、ないものとでは、スタートラインからして全く異なる。

もっとも「一律制限するよりも、世襲の是非は選挙民に判断させるべき」という意見もある。一見民主的で正しそうに聞こえるが、そのようにした場合、圧倒的な「資産」をもつ世襲議員のほうが、有利になる可能性がたかい。

そもそも「選挙民に判断させる」というのは現状そのものであり、その現状では、一人はゴールラインの1000m前にいるのに対し、もう一人はたった1m前にいるかのような不公平さが存在するのである。

経済的には「相続税」がその不公平さを是正するツールとして使われるが、政治の世界でもそれを導入すべきだ、という声が高まっているのには理由がある。


諸外国を見ると、世襲が存在しないわけではないが、日本ほど、てんこ盛りな国は少ない。

日本では衆議院の1/4が世襲議員で、自民党に限ると、4割近くが世襲だが、アメリカでは、上院・下院ともに5%程度。ブッシュ父子や、ケネディ一族のような例はあるものの、例外的存在だ。

その背景には、子供は親とは別の職につくのが当たり前で、「世襲」という概念自体、ポピュラーなものではないというアメリカ的な事情がある。

イギリスでも閣僚23名のうち、世襲者は一人のみ。かつては世襲の貴族議員がハバをきかせていたが、それも90年代に改革され、約750人から92人に削減された。

日本では遅れているというイメージがつよい中国や韓国、台湾でも、意外に世襲はすくない。

かつて蒋介石→蒋経国と、総統の座が世襲され、終身議員すら存在していた台湾では、90年代に民主化・政権交代が進んだ結果、世襲政治家は多くが払拭されている。

軍事政権が倒れ、民主化から政権交代が行われた韓国でも、世襲議員は少数派だ。

政権交代がない中国においても、世襲政治家はあまり多くはない。一つには文革時ほどではないが、権力闘争が激しく、親が共産党員だから、という甘い理由だけでは、闘争の海を渡りきれないのだとおもわれる。


一方、日本と同様に世襲議員が多いのは、イタリアである。

イタリアは小党乱立で、党が推す独自候補よりも、地方の有力者が当選しやすいという政局上の理由が挙げられるが、その背後には、今なお中世の色彩が色濃く、家族主義的かつ権威主義的な土壌があるとされる。

イタリアは急速な少子化や、激しい所得・地方格差など、日本とよく似た特徴をもつ社会であり、それに政治的・システム的理由が加わると、世襲議員が誕生するのだろう。

日本の場合、政権交代などの劇的な変化がなかったこと、親と同じ選挙区を引き継げること。この二つの理由から、世襲が跋扈する至ったとかんがえられる。

従って政権交代を起こし、親の選挙区からは出馬できないような部分的制限を加えるのが効果的だろう。

それでも世襲政治家はコネや資産、ノウハウの面で有利なことは変わらないが、全面制限すると、こんどは逆差別ということで、世襲議員の猛反発が予想されるので、このあたりが落としどころなのだろう。もっともこの話の裏には、世襲議員と非世襲議員との権力闘争が見え隠れしているようだがw。

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