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Mansions & Dragons 03

前回はこちら


そうこうしている内に、昼になる。幸いガスと水は生きているので、ラーメンを作ることにした。しかし冷蔵庫を開けて気づいたのだが、このまま電気が来ないと、早晩、食物が傷んでしまう。

非常食は一週間ほど用意してあるが、もし本当に「隔離」なら、節約して食いつながないとならない。

そういうバカバカしい考えがアタマをよぎるが、夕方になると、そのバカバカしい考えが次第に現実味を帯びてきた。

降りていくと、管理人室で管理組合の面々が集まっており、何事か言い争っている。

「ですからね、これは隔離なんですよ」
「ばかばかしい。知らせもなしに隔離なんて、ありえんよ」
「そりゃあなた、知らせたら逃げちゃうじゃないですか」
「百歩譲って隔離としてもだ、どうして誰も通らない?このマンションの前を」
「それは・・・この町内全体を隔離してるんでしょう、たぶん」
「それだったら、町内には町内の人が出歩いてもいいはずだろう」
「何か理由があるんでしょう」
「どんな理由だ」
「そんなの知りませんよ。わたしゃ専門家じゃないですし」
「まあまあ」

と、管理人と理事長の口論に割って入ったのが、副理事だ。
「確かに隔離、と考えるとおかしな点がいくつもある」
「そうだろ」
「仮にエボラウィルスのような強烈な伝染病が発生したとしても、この国はそれをコントロールできるだけの保健対策があります。SARSのときも、諸外国で発生騒ぎがありましたが、日本だけは一人もかかってないんですよ」
「ですが」
「まあまあ。仮に隔離としても、何もこんな風に玄関の電源を切って閉じ込めるより、警官を配備した方がよほど楽で確実です」
「そうそう」
「だから、隔離というのはおかしいんですが、といっても、他に原因が思い当たらないのも事実なんです」
「ですよね」
「大体、われわれを閉じ込めて、何のメリットがあるというんですか。ないでしょ、伝染病以外」
「・・・じゃ、仮に伝染病として、だ」
と、理事長は顔をしかめた。

「我々はどうすればいい」
「そりゃ、」
と副理事は言いかけて、口をつぐんだ。
「いつまでここに居なけりゃならん。私はリタイア組だから別にいいが、蜀のある若い人はどうなる・・・それに、私だって明日には病院いって糖尿の薬をもらわなきゃならん」
「理事長、それよりも、食べものですよ、問題は」
と副理事は妙なふうに眼を輝かせた。

「食べもの?」
「いつまでこの監禁が続くか分かりませんが、三日も四日も続くとなると、食糧が尽きるご家庭も出てくるでしょう」
「なるほど、食糧が尽きる、か」
重苦しい沈黙。
「それは・・そうだな。じゃ、あれか。備蓄を使うか」

ドラゴンマンションでは、不測の事態に備えて食糧や水を備蓄しており、それを各戸に分配することとなった。ただし全部は配らず、半分は残しておくこととした。この「監禁」が、どれぐらい続くのか、誰にも分からなかったからである。


次回はこっち

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