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Mansion & Dragons 01

「どうしたんですか」
朝、出ようとすると、マンションの出口に人がたかっている。
「いえね、出られないんですよ」
「ドアが開かないんですか」
「どうも電気が切れてるらしくて」

このドラゴン・マンションは、玄関がオートロックになっており、出るときは自動ドアで開くようになっているので、電気が来ないと外に出られなくなる。降りるときエレベータが動かないので階段を使ったのだが、そういう理由だったのか。

「じゃ、裏口から出ればいいじゃないですか」
と誰かが言う。
「いえ、それが裏口は修理中なんですよ」

そうだった。裏口はフェンスが錆びきっていたので、コンクリートで閉じて、別なところに裏口を作っている最中だったのだが、これでは出口がない。

「困りましたね」
「業者を呼んで、直してもらいましょうよ」
「それが工事のとき、電線やら電話線やらを切ってしまったらしく、通じないんです」

普通なら携帯を使えば良いのだが、ドラゴンマンションはコンクリートが厚いせいか、電波の死角になっているせいか、携帯が通じない。

「困ったな。会社に遅れてしまう」
「二階があれば、よかったんですが」

ドラゴンマンションは二階から十階まで、ある銀行の保管庫になっており、それらの階にはベランダも窓もない造りになっている。だから二階のベランダから飛び降りる、ということもできないのである。

「そうか・・こういう問題があったんだなあ」
「どうしてこういうマンションに入ったのか、私も不覚ですよ、はっはっ」
「まあ、こうなったら仕方ないですね。不可抗力です。ジタバタしてもしょうがないから、誰か来るのを待ちましょう」
「そうですね、郵便やさんなり、新聞やさんなり来るはずですから」
「とりあえず、ソトから見えるように、玄関に張り紙しておきましょう」

そのように話が決まったので、自室に戻った。幸い、今日は午後から仕事場に顔を出せば良いので、ハラをくくることにする。

電気が切れてるので、TVもネットも見れず、ぼーっとベランダを開けて外を見る。いつもと変わらない、都会の風景が広がる。川岸の桜は、そろそろ咲き始めている。左側にはクレーンが見えるが、あれは別のマンションを建設中だ。遠くには電車が走っているのも見える。

いつも朝は寝ているか、出勤の支度をしているので、あまり気に留めない風景だが、改めてじっくり見てみると、それなりに味わいがある。

味わいがあるのは良いが、一時間も見ていると、さすがに飽きてきた。階段を下りると、玄関はまだ閉まったままだ。


次回はこちら

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NO TITLE

 大変でしたね。結局どの位で出られたんですか?火事じゃなくて良かったですね。

NO TITLE

なんか、オチがいい味わいですねw
急に現実に引き戻されてあ~あ、でもそんなに変わってないよね、という感じ。

Re: NO TITLE

ああそうか、誤解を与えているようですが、この話、フィクションです。続編で詳細が明らかになる・・・予定ですw。

NO TITLE

やっぱネタですよね。だって東京なら窓から大声で叫んだらどうにでもなるし、ベランダから携帯が通じないなんてありえないですし、マーヤちゃん、かわいい~w

NO TITLE

ネタですよ~。あ、でも「携帯が通じない」というのは実話でしたw。ビルの谷間になっているマンションだと、ベランダに出ても通じないことがあるんですよ。まあ、さすがに全館通じないというのはネタですがw。
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