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Steel Ball Run

STEEL BALL RUN vol.16―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (16) (ジャンプコミックス)STEEL BALL RUN vol.16―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (16) (ジャンプコミックス)
(2008/09/04)
荒木 飛呂彦

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JoJo第六部は現代アメリカが舞台だったが、第七部は時代を遡行して19世紀アメリカに焦点が当てられる。Italicなデザイン感覚をもつ荒木からいうと、モダンアメリカよりも、近代アメリカの方が彼の感性に近いので、この舞台設定は納得の行くところ。実にイキイキとした活写、また活写がつづく。

もっとも第七部と銘打ってあるものの、1~6部とは直接の関係はない。確かにディオ、ジョジョ、ツェペリ、シュトロハイムなど、お馴染みのメンツは揃い踏みなものの、これは「ジョジョ」に設定を借りた異世界ものである。

異世界でなければ、ハンプティダンプティのような子供大人が大統領になれるわけもない。当時のアメリカ社会は、政治家に男らしい外観を求めていたからである。

荒木ワールドはその画力、デザイン性、プロット、どれをとっても一流だが、惜しむらくはリサーチがたらず、時々世界観に穴があく。すると途端にJoJo Worldが矮小な作り物に見えてしまい、興ざめしてしまう。

とは言え、第五部イタリア編を凌ぐ、極度にデフォルメされた「スタンド作画」は今回もスロットル全開で、飛ばしすぎた挙句、構図が把握できないこともしばしばw。


舞台は1890年アメリカ。西部開拓がほぼ終焉を迎え、フロンティアの消滅が宣言された年である。

南北戦争やインディアン戦争を乗り越え、大陸横断鉄道をも完成させた当時のアメリカは、19世紀の古風を残しつつ、上り調子で20世紀を迎えようとしていた。

シカゴには世界初となる摩天楼が建ち始め、電話・電球・映画・蓄音機が次々と実用化された「前進の時代」であった一方、西部にはまだ無法者たむろし、保安官が巡回するという「野蛮な時代」でもあった。

物語は「大陸横断レース」と、それを利用して「聖者の遺体」を回収しようとする主人公と、永遠の敵役・ディオ、そしてレースの元締・大統領らの三つ巴の闘いを描く。

「大陸横断レース」の元ネタは、実際に1970年代にアメリカで行われた"Cannonball Run"。真夜中のニューヨークを出発し、昼夜兼行で、ロサンゼルスまでの到達時間を競う。これ以外にルールはなく、どのルートを採ろうが、どんな車を使おうが、何人で行こうかは自由であった。


走行時間はベストで30時間強。平均時速は80マイル=130キロ。当然、制限速度(55マイル)など仏恥義理ない限り、こんな速度は出せない。

というより、そもそもこのレースは、それまで速度制限のなかった高速道路に、制限が設けられたことに抗議するdemonstrationだったのである。原因は石油ショック。石油ショックを克服しようと、アメリカ政府は、最も経済性が高いとされる時速55マイル=90キロを最高速度に設定した。

それを不服に思ったある車雑誌がこのレースを思いつき、希望者を募ってはじめたのが伝説となり、これを題材にした映画も数々作られ、「大陸を疾駆するスーパーカー」「パトカーをぶっちぎるモンスターカー」などのバイオレンスなイメージがすっかり定着した。

しかし元来のレースはそんなキケンなものではなく、事故もほとんど起こらず、最悪の「事故」はラザーニャをぶちまけたことだけだった、という。最高速度175マイル=280キロで駆け抜けた割には、違反チケットも滅多に切られることはなかった。

もっともこのレースは単に最高速度で飛ばせば良いわけでなく、パトカーや渋滞を避けて、コンスタントな速度で走り続ける点が重要だったから、ある意味、普通のドライブより安全だったかもしれない。


もう一つ、荒木にインスピレーションを与えたのは、"Pony Express"だったようだ。

Pony Expressとは19世紀後半に設立された、速馬を使った郵便事業のことである。MissouriとCaliforniaを結ぶ郵便はそれまでにもあったが、馬車を使っていたので日数がかかったのを、早馬に切り替え、十日も日数を短縮した「急行便」であった。

日本でいえば「早飛脚」で、佐川急便がそれをトレードマークにしているのと同じように、米国郵便はPony Expressを今なおトレードマークにしている。

馬車には通れないような間道、山道を抜け、最短距離で走りぬける姿は、そのまま本作"Steel Ball Run"に通じる。

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