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皇国の守護者

皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)
(2005/03/18)
佐藤 大輔伊藤 悠

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突如。

「北海道」への奇襲攻撃によって、なす術もなく蹂躙される「日本」軍。怒涛のように押し寄せる「ロシア」軍。その前に立ちはだかるのは、サーベルタイガーを戦力に組み入れた「剣虎兵」であった・・・

という紹介文から分かるように、これは史上の日露戦争ではなく、それを下敷きにした架空戦記。この世界では、地にはサーベルタイガーが跳び、空には龍が舞い、地には導術兵(超能力を使う通信兵)が存在する。

その中で孤児ながら名家に養育された、野卑にして尊大、小心にして大胆という、屈折した心理をもつ剣虎兵隊長・新城中尉の活躍と苦悩が描かれていく。

圧倒的軍勢の前に崩壊していく日本軍。司令は真っ先に逃亡し、敗残兵は南端の砂浜に集結、そこから本州に渡ろうとするも、折からの悪天候でうまくいかない。そこで新城隊は「捨て駒」として、本隊を無事に逃がすまで、敵の足止めをすることを命令された。

600の兵に対し、ロシア軍は4万。この絶望的な戦いに際し、新城は焦土作戦を展開し、敵軍の兵糧を断とうとするも、不完全に終わり、包囲され全滅。ただ足止めは見事に成功し、新城自身も降服して捕虜となった。

そして二月後には釈放され、本国に帰還の運びとなるが、その間もロシア軍は着々と本州制圧の軍備を整えつつあり、新城も迎撃軍の一員として、再び戦場に降り立つ。ロシア東方軍と、日本全軍の総力戦が始まる・・・のだが、実はここで連載が打ち切られてしまったw。

人気は上々、作画担当の伊藤もノリノリだったため、原因は原作担当の佐藤にあった、と噂されている。曰く原作と設定が食い違ってきた、曰く漫画の方が人気があった、曰く妻に漏らした悪口が、回りまわって作画伊藤の耳に入ってしまった・・・・

理由はともあれ、久々に見る優れた戦闘漫画であったので、連載再開が望まれる一方、以後の展開は荒唐無稽かつunreal(皇女を愛人にするとかw)になっていくので、この地点で終了した方が、あるいは良かったとも思える。



舞台設定はファンタジーながらも、戦闘や虎のdetailは丁寧に押さえられており、それがリアリティとなってこのファンタジーを支えている。戦闘オタク佐藤の緻密な描写に加え、作画伊藤の才気を感じさせるカット割り、シーン描写は一軒の価値あり。

孤児にして名家の出、卑屈にして傲慢、猛獣使いにして英雄、兵への愛情こまやかにして死命を下す、という複雑屈折起こした新城の人物像も、チビの三白眼+卑しい笑顔と、いかにもな描写をくだす伊藤の画力には脱帽だ。

もっとも注文もないわけではない。

確かに佐藤の戦術に関する描写は史実に則っており、合理的で迫力あるが、戦略・政治的にはおかしなポイントがいくつもある。

たとえばまともに補給をせずに進撃するのは、近代軍のやることではあるまい。作中では現地調達で糧食を補った、とあるが、寒季の北海道に4万からの軍隊を支えきれるだけの食料がある、というのも痛い設定だ。ましてや近代軍は火薬弾薬が不可避であろう。

そもそも日本を占領して、何のメリットがあるのか。本作では、日本が低価格で海運を行った結果、ロシア商人を怒らせた、という設定になっているが、それでは侵攻理由としては些か無理がある。実際の戦争というものは、もっと野蛮で、生々しい憎悪や怨恨が元になっていることが多いからだ。


付け加えると、日本では司馬史観の影響か、「ロシアは日本を侵略したに違いない」という意見が支配的に思える。だから日露戦争は聖戦だった、というロジックだ。

しかし良く考えて見ると、ロシアにとっては日本を手中に収める動機が薄いのである。

当時、ロシアが狙っていたのは対中貿易の利権であった。そのために大連港を押さえたのだし、シベリアに鉄道を引いたのである。従ってロシアがほしかったのは満州であり、できうればその近接地である華北や朝鮮だったのであり、日本はその視野に入っていなかったと考えるべきだろう。

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