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伸びる著作権保護期間

著作権法を改正し、保護期間を50年から70年に延ばそうと言う動きが広がっている。

背景としては、欧米では70年に設定している国がほとんどで、日本もそれに足並みを揃えようという国際的圧力がある。50年を取っているのはイラクやエジプト、中国やモンゴルなど、発展途上国が多く、そこから抜け出すべきだ、という日本政府の先進国意識も働いているようだ。

実際、同じく50年だった韓国も07年に延長法案を閣議決定。日本だけが取り残されるという構図は避けたいと言うところだろう。

そもそも、著作権が作者の死後50年間も保護されているのは、遺産として遺族の生活を保障するのが目的であった。そして平均寿命の延びにより、保護期間が50年から70年に伸びるのは当然といえば当然とも言える。


しかし、実際の著作者は、保護期間が伸びることに賛成な人ばかりではない。たとえば批評家の竹熊健太郎や劇作家の平田オリザなどは、反対の意向を示している。

というのは著作権が強化されれば、それを自由に引用して批判することや、自由に上演してもらうことが難しくなるからだ。

またオマージュやパロディの問題もある。批判や二次利用、パロディといった著作を豊かにする道具が余計20年間許されなくなることは、著作者にとっても好ましいことではあるまい。

そもそも保護期間が延びると創作意欲が増す、という著作者はあまりいないと言われる。保護は必要だが、別に50年でも70年でもいいじゃないか、という人が多いように思う。

それでも執拗に法改正が望まれているのは、著作者よりも、むしろ企業側の論理と考えると分かりやすい。


たとえば、ディズニーの著作権がきれそうになると、その度に著作権法が改正され、著作権が延長されるという有名な話がある。

元々ミッキーマウスらの著作権保護期間は50年だったが、その期限が迫ると70年に延長され、その新期限がやってくると、今度は95年に再延長された。(アメリカの保護期間は個人は70年、法人は95年)

いかにも著作権ビジネスが確立しているアメリカらしいエピソードだが、そのアメリカでは、ipodの普及により、アルバムでなく、一曲ずつ購入する購買スタイルが定着。音楽企業の収益が悪化しているという。

しかし消費者にとっては、好きな曲だけかえる一曲購入スタイルは歓迎すべきものだし(考えてみれば、CDの販売方法というのは、いらない曲まで買わせる抱き合わせ販売だったわけである)、作曲・演奏者側にとってもメリットがあると言われる。

というのはダウンロード販売は、音楽ビッグビジネスによる中間搾取が省け、たとえ一曲購入で販売額そのものは減っても、音楽家に入る額は増えるからであり、実際、ダウンロード販売に異を唱える音楽家はほとんどいない。

日本でも、著作権の解除を望む著作権者の意向を無視し、著作権料を取り立てるJASRACのエピソードに代表されるように、クリエーターと著作権ビジネス企業との乖離が目立ち始めている。


このあたりの事情は錯綜しているので整理してみると、

消費者:著作権強化に反対。
創作者:反対かつ賛成。
企業:  賛成。

となる。ここから、著作権問題が複雑なのは、創作者が二義的なスタンスを取っているためであることが分かる。

したがって最初にそれを取り除けて考えれば、そこには消費者VS企業という見慣れた構図があるだけである。つまり、圧倒的な力をもつ媒体企業が、製造者から買い叩いたものを高く消費者に売りつけて、暴利をむさぼっている、という図式だ。

そしてこれに対する不満や鬱屈が、日本での著作権強化反対の原動力になっていると思われる。

確かに印税は3~10%で、同じく流通業者の手を通して販売される牛乳の40%(原価80円、販売価格200円)に比べると、著しく低いことが分かる。音楽の場合、プロダクションやプロモーターの中間搾取も加わるので、印税率が1%だったり、小銭をもらって著作権を放棄、というケースも少なくない。

そのような状況にメスを入れずに著作権保護だけを強化しても、消費者や製造者の利益にならない、という論理はわかりやすい。


一方、創作者の立場は両義的だが、この両義性は、「新たな著作は、前人の著作の上に成り立つ」と言う著作の本質に由来する。元来、著作空間を豊穣なものにするには、著作権など、邪魔なだけなのである。

しかしそれでは著作者の生活や創作意欲を保護できないという金銭的な理由で、著作権が設けられたわけである。

とすると、現行著作権を「非営利利用」と「営利利用」に切り分ける、という解決策がある。つまりお金儲けでない限り、著作は自由に使ってもらい、それによって創作を活発にし、新たな著作物を社会に還元するという発想である。

ガチガチに著作権を守りつくした挙句、クリエータ・コミュニティ全体を萎縮させ、著作ビジネスを衰退させるというのも、企業側にとって有益な選択ではあるまい。

このような試みはソフトウェアの世界では既に行われおり、非営利利用によって多くの人に知ってもらい、営利バージョンを販売することによって利益を上げる、というビジネスモデルが確立している。本や音楽の世界でも少しずつ広まっているが、その速度はカタツムリのように遅い。


それは一つには、作家や漫画家には「人格権」を重んじる人が多いせいだろう。人格権とは、作品を利用するさい、元々の設定を変えてはならない、とする権利のことで、森進一の「おふくろさん事件」などが有名だ。

「おふくろさん事件」とは、作詞家に無断で森が歌詞を加えて歌い、それを作詞家が訴えた、という事件だが、その提訴が成立したのは、「歌詞は歌われるときには、一字一句変えてはならない」とする著作人格権が存在していたからである。

ハタから見るとバカバカしい騒動で、当の作詞家にとっても、創作の根本に関わる切実な問題というより、単に法を盾にとって、森にいやがらせをしたかっただけのように思えるのだが、銃夢ハンドルネーム事件に見られるように、人格権を信望しているクリエーターは存在する。

その一方、人格権に重きをおかない創作者も少なくない。漫画の二次利用は、その最たる例だろう。当初は違法的な眼で見られていた二次利用だが、そこからビッグネームが飛び出すことも珍しくなくなった今では、(漫画・アニメ界では)一定限度の利用は許可、という慣例が確立しつつある。

これはHP、ブログ、画像投稿サイトに加え、youtubeなどの動画投稿サイトの普及を受け、権利者・企業側にも、単に規制かけるよりも、むしろある程度の二次利用は許可し、販売促進に役立ててもらおうという方向に意識変化が進んだせいであろう。

しかしその間には逮捕者も出るなど、著作権を巡るトラブルがなかったわけではない。きちんと非商用の二次利用は許可するように法改正すべきだろう。


つまり人格権、二次利用権、商用利用権などを何でもかんでも著作権にして強制的・自動的に守らせるのではなく、クリエーターの自己選択・申告制にし、それがない著作物は自由に利用できるような環境が好ましいように思えるのだ。

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はい

はい(挙手)僕は今もやっぱり反対かつ賛成、になります…。
内心では「著作権共産主義者」ではありますが、やっぱり自分の書いたものについては「これはオレが書いたんだぞ」という自負がありますからね。

営利用と非営利用に分けるとなると、その基準と、分類の手続きはどうなるんでしょうね。

でも結局、営利用にふさわしいものと非営利用にふさわしいものを分類するための基準って、わりと「言わずもがな」で、一人一人の胸の中に最低限の基準くらいは備わっているのではないかと思います。それこそ「ハタから見ているとバカバカしい」と思えるような、この感覚は自然法的ですね。

Re: はい

> はい(挙手)僕は今もやっぱり反対かつ賛成、になります…。
> 内心では「著作権共産主義者」ではありますが、やっぱり自分の書いたものについては「これはオレが書いたんだぞ」という自負がありますからね。

自分的には著作権強化には不賛成ではないですが、現状だと、それが単に企業側の収益拡大に使われているだけ、という印象が拭えないですね。

> 営利用と非営利用に分けるとなると、その基準と、分類の手続きはどうなるんでしょうね。

規準・分類としては、フリーソフトのやり方に準じればいいと思います。つまり一般に利用はフリーで、それを販売したり、利益モデルの中に組み込んだりすると、課金が発生する、という形で。

> でも結局、営利用にふさわしいものと非営利用にふさわしいものを分類するための基準って、わりと「言わずもがな」で、一人一人の胸の中に最低限の基準くらいは備わっているのではないかと思います。それこそ「ハタから見ているとバカバカしい」と思えるような、この感覚は自然法的ですね。

このあたりは前例を参考にしながら、試行錯誤で分類ラインを決めていけばいいと思いますよ。

 ふぅ~ん。そういう理由なんだ…。
 うんと、あたしは賛成?反対?どっちかな?もっと臨機応変にケースバイケースってのはどうかな?
 50年とか70年とか決めないで(決めたい人は決める)著作権を持つ人がその年数とか規約みたいなものを決めてもいい…ってのがいい。 
 基本的にこの作品は○○さんの物です…と誰の作品なのか、はっきりさせればいいと思うんだよね。それをちゃんと明記した上で利用させて貰うものは貰う。著作権者が『じゃーお金を下さい』って言ったら払う…みたいな。
 >遺産として遺族の生活を保障するのが目的であった
 ⇒なら、遺族が自由にその内容を決めたらいいと思うけど。大金持ちの人は保障されなくても生活に問題がないだろし…。
 ん?あたしの答えズレてるかな?

>今度は95年に再延長された

ディズニーの著作権にそんな背景があったんですね。知りませんでした。
lepさん、よく著作権について書いてる気がするんですが、仕事か何かと関連があるんですか?

Re: タイトルなし

>  50年とか70年とか決めないで(決めたい人は決める)著作権を持つ人がその年数とか規約みたいなものを決めてもいい…ってのがいい。 

それもgood ideaですね~。デフォルトは50年で、0~70年の間で自由に設定できるというのが理想的。

>  基本的にこの作品は○○さんの物です…と誰の作品なのか、はっきりさせればいいと思うんだよね。それをちゃんと明記した上で利用させて貰うものは貰う。著作権者が『じゃーお金を下さい』って言ったら払う…みたいな。

それはJASRACのようなデータベースを作ればいいと思いますよ。

>  >遺産として遺族の生活を保障するのが目的であった
>  ⇒なら、遺族が自由にその内容を決めたらいいと思うけど。大金持ちの人は保障されなくても生活に問題がないだろし…。
>  ん?あたしの答えズレてるかな?

それもありでしょう。まあ現時点でも、遺族の方が自由に使っていいよ、といえば、それで解決なんですけどね。

Re: タイトルなし

> ディズニーの著作権にそんな背景があったんですね。知りませんでした。
> lepさん、よく著作権について書いてる気がするんですが、仕事か何かと関連があるんですか?

ディズニー社は自社の著作権には極めて厳しいのに、他者の著作権には優しいというので良く非難されてますねw。ライオンキングやアトランティスを日本アニメからパクったのは、有名なエピソードです。

今の仕事とはほとんど無関係ですがw、以前データベースの仕事をしていたときに、著作権と関わってました。というのは文書や音楽をデータベースに入れて検索するのは著作権法違反では?という疑いがあったからです。
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