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奇跡の海



「奇跡の海」は、「ロードス島戦記」のOP。

「ロードス島戦記」は実際のロードス島とは無関係で、あくまでファンタジーだが、騎士団や宗教戦争など、現実のロードス島にインスパイアされたフシが所々に見られる。

ロードス島はエーゲ海に浮かぶ島で、古来、西洋勢力と東洋勢力の衝突地として知られている。

元々はギリシャ人によって開拓された島だが、ギリシャが衰えるとアケメネス朝ペルシアの勢力圏に入る。ペルシャ支配はアレクサンドロス大王のペルシャ征服まで続き、大王の死後は、大王の部下で、エジプトを支配したプトレマイオスに服属することになる。

プトレマイオス朝は数百年続くが、最後の女王・クレオパトラがローマに屈服すると、ロードス島もローマの支配下に入る。ローマ分裂後は東ローマ帝国の領土となったが、十字軍の時代になると、定刻は弱体化。その隙をついて、聖ヨハネ騎士団が占領してしまう。


聖ヨハネ騎士団は別名「ホスピタル騎士団」といい、聖地イェルサレムへの巡礼者に宿や医療を提供する旅館兼病院-「ホスピタル」を運営していた団体である。

しかし当時のイェルサレムは敵地であり、ムスリムからホスピタルを守るために、次第に騎士団は軍団的要素を強め、十字軍戦力の一角として認められるようにまで軍備が増強された。

だが英雄サラディンによって十字軍は撃破され、中東から駆逐されてしまう。聖ヨハネ騎士団も撤退を余儀なくされ、東ローマ帝国からロードス島を奪って、そこを根拠地とした。

もっともそれも束の間、イスラム勢力は大軍を差し向け、ロードス島を包囲する。騎士団は2度まで防衛に成功したが、3度目にして遂に敗れ、西方マルタ島へ逃れた。

マルタ移転後も、騎士団はイスラム勢力と戦い、オスマン帝国遠征軍の撃退に成功したが、最終的には同じキリスト教国のフランスはナポレオンによって占領され、ついに領土を失った。

もっとも騎士団自体はその後も存続し続け、21世紀においてもなお、「マルタ騎士団」として、ローマに根拠地を置いて活動を続けている。


マルタ島はその後イギリス領となり、イギリスの地中海戦略の要となった。マルタは地中海のほぼ中央に位置するので、ここを抑えれば地中海の制海権を手にできるからである。

そのため第二次世界大戦では、この島を巡って英独双方が激しくしのぎを削った。ドイツはマルタを封鎖して降伏を勧告したが、島民はこれを拒否。イギリス側について戦い抜いた。

戦後、イギリスはそれに感謝して島民に勲章を授けたが、実権は与えなかったために反英運動が盛り上がり、やがて70年代にマルタ共和国として独立し、イギリス支配から脱した。

一方のロードス島はどうなったかと言えば、オスマントルコに占領された後、帝国領に編入されたが、トルコが衰退すると、イタリアの支配下に入り、最終的にギリシャに支配権が移った。

ギリシャ人支配を離れ、ギリシャ人に支配が戻るまで、実に2千年以上経たわけである。


さて寄り道が長くなったが、この歌、作曲は「Cowboy Bebop」の菅野よう子が手がけた。菅野の初期作品の傑作といわれている。

Bebopでも見せつけられたが、菅野のレパートリーはジャズから民族音楽まで、異様に広い。広い上に、そのどれもが印象的なメロディを持っており、彼女のhit makerとしての才能がうかがわれる。

もっとも一方で、才能が拡散し過ぎて深みのある楽曲にまでは至らない、というのが彼女の欠点でもあるだろう。

歌詞も一ひねり加えられており、これから旅立とうという景気のよい歌なのに、旅立つ先が「苦しみの海」だったり、「闇のような未来」だったりする。もっとも最後には、その苦しみを突き抜けて愛がある、と結ばれて救われるのだが、結婚式にこの歌を歌って顰蹙をかったヤカラもいるそうな。

ちなみにタイトル「奇跡の海」の「奇跡」とは、愛の奇跡のことなのだが、自分にとっての奇跡とは、むしろ「この歌をうたっているのが人ではない」、という点。


そう、歌手はご存知(?)ボーカロイド「初音ミク」。ボーカロイドというのはアンドロイドをもじった言葉で、人造声優のことだ。

もっとも全てが合成音声ではなく、生身の人間の声がベースになっている。それがデータベースに蓄積されており、ユーザーはそれをアレンジして、好みの歌声に仕立て上げるわけである。

聞いて見ると分かるように、高音部などに機械臭さは残るが、「人間が歌っている」と言われても気づかない人がほとんどだろう。コンピュータも進化したものである。

合成音声は、最初は周波数合成によって人間の音声を再現することから始まった。70年代のいかにも機械機械した合成音は、その時の研究成果である。

しかしそのやり方は、すぐに限界にぶつかってしまう。人間の声は思ったよりも複雑で、肺や声帯だけでなく、鼻腔、口腔、舌歯や感情など、様々な要素が絡み合うため、要素還元して再構成するという工学的アプローチがなかなか通用しない。

そこで幾分理想を後退させ、音声そのものは人間のものを使い、それを組み合わせて歌を歌わせようというアプローチが採択されたわけである。

厳密に言えば、これは「人間機能の全てを機械に置き換える」というロボット工学の敗退だが、現実的であったとも言える。機械に得意なことは機械に任せ、人間が得意なことは人間がやれば良いのである。


「初音ミク」は成功をおさめ、一般向け音楽ソフトとしては珍しいヒット作となった。そして二匹目、三匹目の泥鰌とばかり、様々な声優・歌手の声をサンプリングした製品が売り出されたのが、今年でもあった。

中でも「本人より本人らしい」と評判の「がくっぽいど」(Gacktがモデル・・・声を聞いただけで「孕む」ほどエロいとかw)、「人間としか思えない」始音カイトらの姿を、ニコニコ動画などで見聞きすることができる。

ボーカロイドは商用禁止のため、CD販売や有料コンサートなどは原則できないが、ライセンス契約などによってそのハードルはクリア可能だろう。ボーカロイドの性能が高まり、人間と対等かそれ以上になれば、その道も十分に考えられる。

すでに大晦日の夜、紅白の代わりに彼らを愛で倒そうという動きも出ているというw。少なくとも毎年湧いて出る泡沫ユニットや、何十年も出づっぱりな演歌歌手を見るよりは楽しいというものだろう。

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